著作権法第十六条に「公開の美術の著作物等の利用」が定められていて、好き好んで公衆の目に触れるように作られた建築や美術の著作物については、その権利が制限されています。
同じように、好き好んで人目に晒される商品パッケージに使用される著作物も権利を制限されてしかるべきです。しかし、法はそんな事態を想定していなかったのだと思われます。
ここは「国会図書館のカバー・箱廃棄問題」とも通じています。
戦前から箱や雑誌の表紙に絵が印刷されるケースはあったわけですが、そこにさしたる重きがなかった上に、書評で書影を出すことはほとんどなかったはずです。きれいに写真を印刷しようとすると値段が張るためです(写真印刷の歴史については『エロスの原風景』にも書いた通り)。
ところが、精度の高い印刷が安価で可能になって、表紙にイラストや写真が入れられるようになり、書評で書影を添えることも恒常化していきます。レコード評も同様。どれもこれも写真を入れるようになったのは、1970年代くらいからじゃないでしょうか。
本やレコードに限ったことではなく、広く商品のパッケージに言えることです。さまざまな商品パッケージに著作物が広く使用されるようになることを法は想定していなかったのでしょう。
かつては衣装に著作物がプリントされることなど誰も想像していなかったでしょうが、イラストや写真がプリントされているTシャツが今はありふれています。しかし、著作権法はそれをフォローできていないので、イラストや写真がプリントされたTシャツを着た人物写真を出しても、訴えられたら負けるという理不尽なことになっています。著作権法第四十六条の「屋外の場所に恒常的に設置されているもの」にTシャツは該当しませんし。