Oct
20th
Tue
20th
創造性とは何か
l11a:
会社から入社した時にもらった、10年以上前の少年ジャンプの記事の切り抜きより採録。
クリエイティブな仕事をするために、重要な視点が網羅されている。
特にミーハー的な憧れを持ちがちな、若い学生に読んでもらいたい。
特別寄稿 ドナルド・A・グレーザー博士
たいていの人間は、何か創造的なことをやりたいと思っているが、創造性とは何だろうか?どの
ように創造的な仕事はおこなわれ、私たちは、どうやって、それが創造的な仕事だとわかるのだろ
うか?創造性は学べるのか、それとも生まれつきのものなのか?科学者、技術者で、時に音楽を演
奏する私の経験からの創造性についての考えは、他の分野にも当てはまると思う。君達も学べば自
分の創造性を伸ばせると私は信じている。
創造的な仕事とは何か?
創造的であるには、その一つの仕事が、過去にないもので価値のあるものでなくてはならないが、
目新しいとか価値があるとかは、君達の属している社会の他の人々の意見で決められる。科学や工
学の分野はとても国際的になってきたので、活躍する人たちの舞台は全世界ということになるが、
芸術は、もっと地域の文化に根ざしてるはずだ。過激な思いつきだからといって創造的ということ
にはならず、芸術ならば、喜びや感動をもたらし、工学や医学ならば、実用的な効果をもたらすか、
あるいは重要な方向に学問を前進させる仕事につながるものでなければならない。ありふれたもの
をさらに便利にしただけのものでは本当の意味で創造的とはいえないし、過去に作られたものとは
重要な違いがなければならない。
創造的な仕事への五段階
1.目標を定めよう
まず君が価値があると考え、しかもあたえられた時間内で実現できそうな目標を定める。きっと
簡単にはいかないだろうから、目標に到達するぞ、という強い意欲をもたなくてはならない。簡単
なものならば、他の人が、すでにやり遂げてしまっているはずだ。
2.知性の準備をしよう
目指したことについての一般的な分野で君の学習できることは何でも吸収して、君の知性をいっ
ぱいにしておこう。すでにどんなことがおこなわれたかを確かめ、それに関係した事実を調べ、目
標の分野の専門家になるつもりでやってほしい。人は生まれつき、素晴らしい科学的な閃き、絵画、
交響曲、小説の入った宝の小箱をもっていて、人知を越えた力、あるいは心理的なテクニックを習
得したとき突然、小箱からあふれ出るのを待っているだけと信じている人々もいるが、とんでもな
いことだ。勿論、私たちの創造的な衝動は、内面にあるものから作り出されるが、他の人たちが、
すでに学び、なし遂げたことで私たちの知性を豊かにしようという努力は不可欠である。他の人よ
りも早く学べる人たちもいるけれど、重要な目標を達成したいという意欲は、勉強のスピードをあ
げてくれるし、より興味もわいてくるものだ。とはいえ私たちはたくさんの知識はあっても独創的
なことは何もできない学者のいることを知っている。そこで、さっさと三段階目に進むことにしよ
う。
3.新しい発想をつくりだそう
たぶん、初めのうち、多くの人たちにおかしいとみなされても、君の学んだこと、思い描いたこ
とをこれまでとは違った新しい組み合わせで一緒にしてみることで、新しい考えを作ってみよう。
君の知識の範囲を広げ、ふくらませるために、これまで学んだ知識で遊んでみよう。この段階では
君には昔からの伝統から解き放たれ、月並みな知恵や一般に認められた思考法を越えて探検するこ
とが要求される。君の思考の中に、ばかげたものが一つもなかったとしたら、君は成功しないだろ
う。そして次の段階ではもっと多くの考えが必要になるから、最初に得た思いつき一つで満足して
はいけない。奇妙な思いつきが得意なだけで、たくさんの馬鹿げた思いつきを抱えて、とどまって
いる人たちもいるものだ。
4.君の思いつきをチェックしてみよう
この段階では君が思いつきが多過ぎて、一つ一つを発展させるには充分な時間はなくなっている
だろう。ここでの君にはどの思いつきが成功するもので、どれがそうではないかをすばやく見分け
る能力、時には眼力とか直感とか呼ばれる特別な才能が要求される。この判断は、確かに知識と経
験によるものではあるが、説明するのは困難な潜在意識の領域で、すばやく、なされるはずだ。ど
うやって、この能力を開発するかは説明しにくいが、そうした判断を何度かしてみること、他の人
がうまくやっているのを見ること、そうした経験から覚えるのが一番だろう。いいか悪いか、すば
やく判断はできても新しい考えも描けず自分で立てた目標に夢中で取り組もうと燃えることもない
評論家もいる。
5.君の最高の思いつきを磨きあげた創造物にしよう
最後に、見込みのありそうな君の考えを形あるものに仕上げ磨き上げるための専門的な技能を身
につけなければならない。こうした技能を習得するには何年もかかるかもしれないが、慎重に実践
していくこと、いい先生につくことが大切だ。君たち自信の文化的背景から完全に離れてしまうよ
うな、無駄な努力をしないようにすべきだ。それよりは社会から学べることをすべて吸収して、最
高の技能を身につけるがよい。
実際には、創造的なプロセスは私の分析した助言ほど整然とした厳密なものではない。君たちが
思いつくことは手先の器用さや経験から生まれることもあるし、眼力はご両親や君たちが教えをう
けた最良の教師の人格から養われることもあるだろう。目標達成の途中では他にもいろいろな影響
力が働いて君たちの心を揺れ動かすことだろう。実際には、創造的な活動とは不思議な力と努力が
驚くべき形で組合わさったものであり、だからこそ素晴らしいのだ。
まとめ
創造性とは、やりがいがあり、かつ実現可能な目標を選んでそれに向かってひたむきに努力する
こと、その分野のことをよく学び、学んだことをいろいろに組み合わせて新しい、時として突拍子
のない思いつきを作り出すこと、優れた眼力や直感を働かせてうまくいく見込みのないプランを除
外すること、そして、磨かれた技能でいい考えを仕上げ、新しくしかも価値ある成果を生み出す能
力のことである。精神面でもまた肉体面にも限界に挑戦するきびしいプロセスだが、自分の能力を
最大限に発揮することだけでも、創造したもののもつ美しさの他に、多大な喜びを君たちにあたえ
てくれるだろう。